【情シス講座】決裁獲得メソッド 第3回 IT苦手社長には“お金の見える化”で鉄板提案

2015/11/25

自社の経営トップにシステムの新規導入や改善など社内提案を行なう時、「大きな決裁の壁」にぶつかってしまうことがありませんか? ビジネスには敏感だけどITには詳しくない経営上層部への提案ポイントの入り口をお話しします。

会議風景の画像

1回の「ITに詳しくない社長に通る提案 3つのポイント」では、あなたの提案が上層部の気持ちを動かし、決裁を下ろしやすくするためには次の3つがポイントと述べました。


【3つのポイント】

対策(1) 提案内容を「翻訳」する。

 

対策(2) シンプルなフォーマットでポイントを絞って伝える。

 

対策(3) ビジネスとのつながりを直感的に表現する。


 前回は「対策(2) シンプルなフォーマットでポイントを絞って伝える」についてお話ししましたが、今回は対策(1)(3)、つまり「翻訳」「ビジネスとのつながりの表現」について、は緊密に繋がっているこの2つについての工夫を考えましょう。

「翻訳」とは専門的な用語を避けカンタンに言い換えて表現すること。これが意外とむずかしいですよね。

「ビジネスとのつながりの表現」とは、要するに儲るのか損するのかを直感的に理解してもらうことです。これもなかなかカンタンではありません。そこでこの2つを組み合わせて、“お金が見える化”を工夫してみましょう。ちょっと品のない表現ですが。

 はっきりいいます。経営トップや上層部にシステム導入などの提案するときは“お金が見える化”がキモです。

 ITのトレンドも、最新技術もさておき、経営トップの頭にあるのは決算書の数字です。つまりお金のことが最優先です。「なぜアンタがそんなこと言えるんだ」って? 自分も経営して来たからわかるのです。自分もダメな経営者でした。しかし、他の中小企業の経営者によく会って話しても、やはりITやシステムの話は後回しです。「儲けを産むかどうかわからないシステム対応の話」については、頭に入っていかないといっても過言ではありません。Windows XP終了の時の、各企業の対応を見ていても恐ろしかったです。「もったいないから使い続けろ」という感じです。みなさんの周りにもありませんでしたか? そんな事例。え? まだある?

 それでは、情シス担当のあなたがITの苦手な社長に話をするときに“お金が見える化”の資料を作るにはどうするか? 長々としたパワポは避けましょう。次のポイントを書き出した1枚資料あるいはExcelの数表、グラフで説明するようにしましょう。

 専門用語、IT用語でなく、「客数」「お金の動き」で示します。数表やグラフを作りましょう。

 また、システムに手をかけないことで生じるリスクもわかりやすい形で説明しましょう。社長は「他社がこんな目にあった」「役所が検査に来る」などに過敏に反応します。それは数字で出さなくとも「丸一日つぶれで大損。場合によってはもっと大変なことに」と計算が働くのです。

会議がうまく進んだイメージの画像

ITが苦手な社長にはこう話してみましょう

それぞれの見える化を示した資料とともに、以下のように説明すればさらに効果的です。

(1) “お金の儲け”を見える化

【話し方例】

  • 数表を見せて「社長、この新しい営業支援システム導入で、展示会で集めたお客様の●●%を見込み客にでき、そのうち■■%から受注が見込めるというデータがあるようです。もし、それがそのままウチに当てはまるなら、1年でこれだけ儲けが出そうですよ」
  • 数表を見せて「社長、WebのリニューアルでWebサイトへの来訪客が1日●●人増える可能性が高いです。ざっと計算すると店に■■人来店客が増えるのと同じですよ(これはお金を出さなくても、社長は直感的に“お金の儲け”を感じ取れる)」

(2) “お金の損”を見える化

【話し方例】

  • 数表と他社事例を見せて「社長、他社ではこれだけ損害賠償を支払わされたそうです。ウチもきちんと対策を行なわないと、損害賠償●●円ということもあり得ますよ」
  • 他社事例、官公庁のHPのコピーを見せて「社長、対策しないと役所の立ち入り調査があるかも知れませんよ。その場合1日仕事になりませんよ(これは数字を出さなくても仕事にならないことでどれだけ損するかすぐわかる)

どちらかと言うと、情シス担当は(2)でしょうか。マイナンバー導入などを絡めると(ちょっとあざといですが)効果的かも知れませんね。

あなたの会社の社長がIT導入に積極的で、情シスの提案に真摯に耳を傾け、投資も惜しまないのであれば、こんな説明は必要ないかも知れません。しかし、実際はなかなかきびしいものです。“お金の見える化”の資料をつくり、「君はポイントをついてくるな!」と言われるようになりましょう!

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